楽しみ方
栽培伽羅の焚き方 — 温度は80〜120℃、それ以外は素直に焚く
当店の栽培沈香は油分が多く、直接火を点けて焚けます。おすすめは、熾した香炭の上に小片を載せるか、香炉の灰の上に置いて直接火を点ける方法です。温度を管理したい場合は電子香炉で80〜120℃。銀葉を使う香道式の空薫は、この香木の性質に合いません。
おすすめは「素直に焚く」こと
香木の焚き方には大きく二つあります。
ひとつは直接焚く方法。熾した香炭の上に載せるか、灰の上に置いて直接火を点けます。煙が出て、香りがはっきり立ちます。
もうひとつが空薫(そらだき)。灰に埋めた炭の上に銀葉(雲母の板)を置き、その上に香木を載せて間接的に温める。香道の聞香で使われる方法で、煙を出さずに微細な香りの変化を追うためのものです。
当店がおすすめしているのは前者です。
なぜ空薫をすすめないのか
誤解のないように書きますが、空薫が悪いのではありません。当店の香木の性質に合わないことがある、という話です。
空薫は、野生の香木——それも長い年月をかけて樹脂が熟成したもの——を前提に組み立てられた作法です。低い温度でゆっくり温め、時間とともに変わる香りの層を追う。その層が厚い香木だからこそ意味があります。
栽培品は、その層が野生材ほど厚くありません。低温でじっくり追うより、ある程度の温度で素直に立たせたほうが、良いところが出ます。
香道のお稽古でお使いになる場合は、先生の指示に従ってください。ここに書いているのは、あくまで当店の香木を家で楽しむ場合の話です。
電子香炉を使う場合:80〜120℃
温度を設定できる電子香炉をお持ちなら、この帯で使ってください。
| 温度 | 起きること |
|---|---|
| 〜70℃ | ほとんど立ちません。待っても変わりません |
| 80〜100℃ | 沈水選別品はこのあたりから立ちます。穏やかで、長く続きます |
| 100〜120℃ | 通常品はこの帯が分かりやすい。香りがはっきりします |
| 130〜150℃ | すぐ立ちますが、終わるのも早い |
| 150℃〜 | 焦げた匂いが混じりはじめます。香木がもったいない |
使う量は一度に0.05〜0.1gで十分です。 多く載せても香りは強くなりますが、良くはなりません。それより温度を変えるほうが効きます。
灰や炭で直接焚く場合
当店の香木は、通常品・沈水選別品とも油分が多く、そのまま火が点きます。やり方は二つです。
①香炭の上に載せる。 香炭団に着火し、熾ってから小片を直接載せます。すぐに煙が立ちます。
②灰の上で直接火を点ける。 香炉の灰の上に小片を置き、ライターやマッチで直接火を点けます。炎が立ちすぎるときは吹き消して、くゆらせてください。
いずれも必ず香炉の中で。焚いているあいだはそばを離れず、火の始末にご注意ください。灰に埋めた炭で灰ごと温める方法は香道の空薫に近いやり方で、当店の材には向いていません。
- 一回に使う量は 0.1〜0.3g 程度
- 煙が出ます。換気してください
- 炭が熾りきる前に載せると、つなぎの材料の匂いが混じることがあります
道具は特別なものでなくても構いません。仏壇用の香炉と灰、着火具があれば始められます。香炭団はあれば便利、という位置づけです。
温度を変えて記録する
同じ香木でも、温度で表情が変わります。上の表は、当店で設定を変えながら確かめた目安です。
ただし、あなたの手元で同じように立つとは限りません。 器具が違い、部屋の湿度が違い、鼻が違うからです。当店の記録は基準点であって、正解ではありません。
保管
- 直射日光と高温を避ける
- チャック付きの袋などの密閉容器に入れる
- そのうえで桐箱や引き出しに納めるのが無難です
- 冷蔵庫には入れないでください
当店の香木は出荷前に一年寝かせて水分を抜いてあるので、常温の室内なら重量はほとんど動きません。
保管の詳細は香木の保存に書きました。
よくあるご質問
電子香炉は何度に設定すればいいですか?
80〜120℃です。沈水選別品は樹脂が多いぶん80℃前後から立ちます。通常品はもう少し上げたほうが分かりやすいことがあります。150℃を超えると焦げた匂いが混じりやすくなります。
直接焚いても大丈夫ですか?
大丈夫です。むしろ当店がおすすめしているのはこちらです。香炉の灰の上に置くか、炭の上に載せてください。煙は出ますが、香りは素直に立ちます。
香道の空薫(銀葉を使う焚き方)はできますか?
できますが、当店は積極的にはおすすめしていません。空薫は野生の香木を前提に組み立てられた作法で、微細な変化を追うためのものです。栽培品でそれをやると、良さが出るより先に粗が目立つことがあります。
一回にどのくらい使いますか?
電子香炉なら 0.05〜0.1g 程度、耳かき一杯ほどで十分です。直接焚く場合は 0.1〜0.3g 程度。多く入れても香りは強くなりますが、良くはなりません。